KEN SASAKI International Tax Accountant Office

住宅取得資金等贈与の変遷について

相続関係情報

 住宅取得資金等贈与の制度は現在も続いておりますが、5分5乗方式という贈与税の軽減措置まで含めると40年近い歴史があります。
 平成15年の相続時精算課税創設に伴い、通常の場合は2,500万円である特別控除を、住宅取得等資金の贈与については1,000万円を上乗せし3,500万円まで贈与税が非課税になる(相続時に持ち戻して相続税は課税される)制度が導入されました。
 その後、平成21年から現在まで続いている「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」の制度が導入されました。

住宅取得資金等贈与の変遷

昭和59年から平成17年

5分5乗方式による住宅取得資金等贈与の特例
 5分5乗方式とは、贈与額を5分の1にして税額を計算し、その税額を5倍にして納めるというものです。贈与税には超過累進税率が採用されているため、贈与額を細かくして税額を計算すると一括で計算する場合に比べて税額は低くなります。さらに、申告する年を含めた向こう5年分の基礎控除額を先取りするため、550万円(110万円×5年分)までは贈与税はかかりませんでした。なお、この特例の適用限度額は1,500万円まででした。
 また、経過措置として平成17年12月31日までこの特例は存続しました。

平成15年~平成20年 

平成15年に相続時精算課税制度が創設されました。
相続時精算課税・一般枠2,500万円+住宅枠1,000万円=3,500万円は贈与税非課税。
相続時に3,500万円持ち戻して相続税は課税!

平成21年

住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」の制度が導入
贈与税非課税500万円(相続時の持ち戻しなし・精算課税住宅枠1,000万円との併用可)
相続時精算課税・一般枠2,500万円+住宅枠1,000万円+贈与税非課税500万円=4,000万円は贈与税非課税。相続時に3,500万円持ち戻して相続税は課税!(住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税枠500万円は相続税も非課税)


平成22年

贈与税非課税1,500万円(相続時の持ち戻しなし・精算課税住宅枠1,000万円廃止)
 参考:平成22年分・平成23年分住宅取得等資金の贈与税の非課税のあらまし

平成23年

贈与税非課税1,000万円(相続時の持ち戻しなし)
 参考:平成22年分・平成23年分住宅取得等資金の贈与税の非課税のあらまし

平成24年

贈与税非課税(相続時の持ち戻しなし)
〔住宅資金非課税限度額〕1,500万円(省エネ等住宅)、1,000万円(左記以外の住宅)
 参考:平成24年分・平成25年分・平成26年分「住宅取得等資金の贈与税の非課税」のあらまし

平成25年

贈与税非課税(相続時の持ち戻しなし)
〔住宅資金非課税限度額〕1,200万円(省エネ等住宅)、700万円(左記以外の住宅)
 参考:平成24年分・平成25年分・平成26年分「住宅取得等資金の贈与税の非課税」のあらまし

平成26年

贈与税非課税(相続時の持ち戻しなし)
〔住宅資金非課税限度額〕1,000万円(省エネ等住宅)、500万円(左記以外の住宅)
 参考:平成24年分・平成25年分・平成26年分「住宅取得等資金の贈与税の非課税」のあらまし

平成27年

贈与税非課税(相続時の持ち戻しなし)
〔住宅資金非課税限度額〕1,500万円(省エネ等住宅)、1,000万円(左記以外の住宅)
 参考:「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の 贈与税の非課税」等のあらまし

平成28年1月1日から平成31年3月31日まで

贈与税非課税(相続時の持ち戻しなし)
〔住宅資金非課税限度額〕1,200万円(省エネ等住宅)、700万円(左記以外の住宅)
 参考:「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の 贈与税の非課税」等のあらまし

平成31年4月1日から令和2年3月31日まで

贈与税非課税(相続時の持ち戻しなし)
〔住宅資金非課税限度額〕1,200万円(省エネ等住宅)、700万円(左記以外の住宅)
〔特別住宅資金非課税限度額〕3,000万円(省エネ等住宅)、2,500万円(左記以外の住宅)
 参考:「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の 贈与税の非課税」等のあらまし

令和2年4月1日から令和3年12月31日まで

贈与税非課税(相続時の持ち戻しなし)
〔住宅資金非課税限度額〕1,000万円(省エネ等住宅)、500万円(左記以外の住宅)
〔特別住宅資金非課税限度額〕1,500万円(省エネ等住宅)、1,000万円(左記以外の住宅)
 参考:「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の 贈与税の非課税」等のあらまし

令和4年1月1日から令和5年12月31日まで

贈与税非課税(相続時の持ち戻しなし)
〔住宅資金非課税限度額〕1,000万円(省エネ等住宅)、500万円(左記以外の住宅)
 参考:「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の 贈与税の非課税」等のあらまし(令和4年11月改訂)