KEN SASAKI International Tax Accountant Office

相続開始前に贈与があった場合の相続税の課税価格への加算対象期間等の見直し

相続関係情報

改正の内容
 この措置は、生前の分割贈与による相続税負担の軽減を図ることを防止するために講じられていますが、今般の改正では、資産移転の時期に対する中立性を高める観点から、次の見直しがされました。

(1) 加算対象期間の見直し
 相続税の課税価格に加算される生前贈与の対象期間について、諸外国の例も参考にしつつ、 納税者の事務負担等の実務面にも配慮し、相続開始前 7 年以内(改正前: 3 年以内)とされました(相法191)。
(参考) 諸外国の例
アメリカ : 一生涯
フランス : 相続開始前15年間
ドイツ : 相続開始前10年間

(2) 加算される財産の価額の見直し
 相続開始前3年以内の贈与については、従来からその贈与を受けた財産の価額が相続税の課税価格に加算されることとされていましたが、 今回の改正により延長された期間(相続開始前3年超7年以内)に贈与を受けた財産の価額については、相続税の申告の際に確認すべき生前贈与の記録・管理に要する事務負担を軽減する観点から、総額100万円までは相続税の課税価格に加算されないこととされました。

改正前改正後
加算期間相続開始前3年以内相続開始前7年以内
加算額贈与により取得した財産の価額の合計額同左
(ただし、相続開始前3年超7年以内に 贈与により取得した財産については、総額100万円までを控除)

3 適用関係
 上記2の改正は、令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税について適用し、 同日前に贈与により取得した財産に係る相続税については従前どおりとされています(改正法附則 191)。
また、令和6年1月1日から令和12年12月31日までの間に相続又は遺贈により財産を取得する者については、この措置の対象となる生前贈 与の加算期間は、それぞれ次のとおりとされています。
(1) 令和6年1月1日から令和8年12月31日までの間に相続又は遺贈により財産を取得する者については、相続開始前3年以内の贈与が加算対象となります(改正法附則192)。
(2) 令和9 年1月1日から令和12年12月31日まで の間に相続又は遺贈により財産を取得する者については、令和6年1月1日からその相続開始の日までの間の贈与が加算対象となります(改正法附則193)。

令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産にかかる相続税に適用
⇒令和9年1月1日以後の相続から加算期間が徐々に延長
⇒7年分が加算されるのは令和13年1月1日以降の相続から