KEN SASAKI International Tax Accountant Office

相続税における障害者控除

相続関係情報

 未成年者控除・障害者控除については、本人で控除しきれない金額をその者の扶養義務者の算出税額から控除することが可能です(相令4の4③)。この場合の扶養親族は、配偶者又は民法に規定する親族のこと(相法1の2一、相基通1の2-1)をいい、その他の要件は特に指定されていないため、実際に扶養しない状況であっても、他の相続人が親族であれば、誰でも控除することは原則可能(扶養義務者が複数いれば、協議での配分可)です。ただし、この規定を適用するためには、未成年者・障害者本人が1円でも相続財産を取得する必要があるため、留意が必要(∵要件:相続又は遺贈による財産取得)になります。

相続税法19条の4

第十九条の四 相続又は遺贈により財産を取得した者(第一条の三第一項第二号から第四号までの規定に該当する者を除く。)が当該相続又は遺贈に係る被相続人の前条第一項に規定する相続人に該当し、かつ、障害者である場合には、その者については、第十五条から前条までの規定により算出した金額から十万円(その者が特別障害者である場合には、二十万円)にその者が八十五歳に達するまでの年数(当該年数が一年未満であるとき、又はこれに一年未満の端数があるときは、これを一年とする。)を乗じて算出した金額を控除した金額をもつて、その納付すべき相続税額とする。
2 前項に規定する障害者とは、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者、失明者その他の精神又は身体に障害がある者で政令で定めるものをいい、同項に規定する特別障害者とは、同項の障害者のうち精神又は身体に重度の障害がある者で政令で定めるものをいう。
3 前条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定を適用する場合について準用する。この場合において、同条第二項中「前条」とあるのは、「第十九条の三」と読み替えるものとする。

障害者控除のチェック項目
■チェック項目
☑ 相続開始日で判定(手帳の申請等の場合でも救済措置あり)
☑ 要介護状態は適用不可(ただし、障害者控除対象者認定者はOK)
☑ 療育手帳OK(呼称、障害の程度をチェックしておくこと)
☑ 修正申告、期限後申告、更正の請求でもOK(∵当初申告要件なし)
☑ 未分割の場合でも適用OK(∵遺産分割要件なし)
☑ 過去に障害者控除を適用している場合には注意(制限あり)
☑ 成年被後見人は特別障害者に該当
(東京国税局/文書回答事例/成年被後見人の相続税における障害者控除の適用について)
☑ 障害者控除適用後、税額がゼロとなる場合は、申告不要
(Cf 配偶者の税額軽減特例は申告要件あり)
(Cf 小規模宅地等の特例は申告要件あり)