相続についてのご相談例の紹介
夫が2ヶ月前に亡くなりました。相続税などの手続きが必要になると思いますが、何から手続きを進めれば良いのでしょうか?
相続人は妻である私と子供が二人になります。また、相続財産は、居住している土地・建物の他に株式と預貯金などで一億二千万円程度の資産があります。
必要な手続きについて以下の順番で説明します。
1.最初に行う手続き
2.相続人の確認
3.遺言書の有無の確認
4.所得税・消費税に関する届出書や申請書の提出期限の確認
5.遺産及び生前贈与、債務の確認
6.相続の承認と放棄
7.遺産の評価
8.遺産の分割
9.申告と納税
10.一般的な相続開始の流れと相続税の申告手続スケジュール
1.最初に行う手続き
個人が死亡した場合、遺族はその事実を知った日から7日以内に医師の死亡診断書又は死体検案書を添付し市区町村に死亡届を提出します。死者の埋葬・火葬は、死亡後24時間以上経過後、市区町村長の許可を得て行います。許可申請の実務上の手続きは葬儀社が行ってくれます。通夜・葬儀は、すべて慣習に委ねられており法律上の規制はありません。
2.相続人の確認
被相続人と相続人の本籍地から戸籍謄本を取り寄せて相続人を確認します。被相続人については出生時からの戸籍が必要になりますので、改製原戸籍なども取り寄せる必要があります。相続人の確認は非常に重要な作業になりますので、場合によっては司法書士などの専門家に依頼して確認を行うなど慎重に行う必要があります。胎児の場合や死後認知の場合、さらには外国籍の場合などレアケースもありますので要注意です。相続人の確認は相続関係手続きの全ての基礎になる重要な作業です。
3.遺言書の有無の確認
遺言書があれば遺言書を開封する前に家庭裁判所で検認を受けます。ただし、公正証書による遺言は検認を受ける必要はありません。
4.所得税・消費税に関する届出書や申請書の提出期限の確認
被相続人の所得税準確定申告書の提出・納税の期限は、死亡の日から4ヶ月以内です。
また、相続の場合の青色申告承認申請書の提出期限は、原則として死亡の日から4ヶ月以内ですが、死亡日が9/1以降の場合は次のようになります。死亡日が9/1~10/31の場合は、その年の12/31。死亡日が11/1~12/31の場合は翌年2/15になります。
消費税については、被相続人の準確定申告書の提出・納税の期限は、死亡の日から4ヶ月以内です。
手続きの順序としては、まず個人事業者の死亡届の手続きを行います。消費税の各種届出書(「課税事業者選択届出書」、「簡易課税制度選択届出書」、「課税期間特例選択届出書」etc.)については、相続により新たに個人事業者になった場合、提出期限はその適用を受けようとする年中になります。届出書の提出期限は適用を受けようとする年の初日の前日迄ですが、年末に相続が起きた場合などのやむを得ない事情がある場合には、そのやむを得ない事情がやんだ日から2月以内、適用を受けようとする年の2月末までにその届出書と特例申請書を提出すれば、その年から届出の効力が発生します。
最後に、相続税の申告書の提出・納税期限ですが、死亡の日から10ヶ月以内となります。
5.遺産及び生前贈与、債務の確認
遺産と債務の内容を調べてその目録や一覧表を作成します。また、葬儀費用も遺産額から控除できますので、領収書などを保管しておく必要があります。生前贈与については、被相続人から相続時精算課税制度を適用した贈与、住宅取得資金非課税制度を適用した贈与はもちろんのこと現金等の生前の贈与関係を確認する必要があります。なお、生前贈与に関して相続人によっては、他の相続人に知られたくないような内容の贈与の存在も考えられます。贈与税の開示請求の制度の活用なども考慮することが必要です。
6.相続の承認と放棄
財産の金額より借入金等の債務が多い場合には、自分が相続人になったことを知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ「相続放棄」をしたり「限定承認」の手続きをすることができます。相続放棄や限定承認の手続きを行わなかった場合は、単純承認したことになります。
7.遺産の評価
相続税がかかる財産の評価については、相続税法と財産評価基本通達によって路線価などが公表されていますので、それらにより評価することが原則となります。遺産分割の前提となる評価額については必ずしも相続税の課税価格である必要はありません。所謂、時価となりますので、評価額をどう定めるかは相続人間での話し合いによることになります。
8.遺産の分割
遺言書による遺産の分割を行わない場合には、相続人全員で遺産の分割について協議を行い、分割協議がが成立した場合には、遺産分割協議書を作成します。なお、相続人のなかに未成年者がいる場合には、その未成年者について家庭裁判所で特別代理人の選任を受ける必要があります。この場合、特別代理人がその未成年者に代わって遺産の分割協議を行います。未成年者の親が相続人である場合には利益相反になりますので、特別代理人になれないなどの制限があります。また、期限までに分割できなかったときは、民法に規定する相続分で相続財産を取得したものとして相続税の申告をすることになります。申告期限までに話し合いがまとまらない場合は様々な不利益を受ける場合が有りますから早めの話し合いが重要です。
9.申告と納税
相続税の申告と納税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に行うことになっています。なお、延納又は物納する場合はその申請も同時に行います。 胎児の場合は胎児が出生した日の翌日から起算します。相続人の身分に関する裁判が確定した場合には、判決確定の日の翌日から起算します。 被相続人の死亡時における住所が日本国内にある場合の申告書の提出先、納税先はいずれも被相続人の住所地を所轄する税務署です。相続人の住所地ではありません。 3年以内の贈与財産は一定の場合を除き、贈与税の基礎控除以下であっても全て加算する必要があります。
10.一般的な相続開始の流れと相続税の申告手続スケジュール
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