KEN SASAKI International Tax Accountant Office

相続税申告における電話加入権の評価方法

相続関係情報

 令和3年に電話加入権の評価方法についての改正が行われました。
 通達改正後の電話加入権については、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価します。
  なお、相続税等の申告に当たっては、一般動産についての財産評価基本通達128《評価単位》の定めに基づき、一括して評価する家庭用財産等に電話加入権を含めることとして差し支えありません。

(注)令和2年12月31日以前に相続、遺贈又は贈与により取得した電話加入権の評価については、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによります。

  1. 取引相場のある電話加入権の価額は、課税時期における通常の取引価額に相当する金額によって評価します。
  2. 上記1に掲げる電話加入権以外の電話加入権の価額は、電話取扱局ごとに国税局長の定める標準価額によって評価します(当該標準価額は、国税庁ホームページで閲覧することができます(財産評価基準書 路線価図・評価倍率表(令和2年分以前)【https://www.rosenka.nta.go.jp】)。

通達改正の概要
 現下の社会経済情勢においては、電話加入権の取引相場が存在していない。また、標準価額も平成26年以降、一回線当たり「1,500円」と非常に低位な金額になっていることやインターネット等の情報通信技術の発達等により、納税者において容易に売買実例価額を調べることが可能になってきていること等を踏まえると、標準価額を定める必要性が乏しくなっていると考えられます。
 したがって、令和3年1月1日以降に相続、遺贈または贈与により取得した電話加入権の評価額については、財産評価通達129《一般動産の評価》の評価方法と同様、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価する。また、これも伴い、財産評価通達162《特殊番号の電話加入権の評価》の取扱いを廃止することとされました。

【関係法令通達】
 財産評価基本通達128、161

相続税財産評価に関する基本通達(評価単位)
128 動産(暖房装置、冷房装置、昇降装置、昇降設備、電気設備、給排水設備、消火設備、浴そう設備等で92≪附属設備等の評価≫の(1)から(3)まで及び132≪評価単位≫から136≪船舶の評価≫までの定めにより評価するものを除き、以下「一般動産」という。)の価額は、原則として、1個又は1組ごとに評価する。ただし、家庭用動産、農耕用動産、旅館用動産等で1個又は1組の価額が5万円以下のものについては、それぞれ一括して一世帯、一農家、一旅館等ごとに評価することができる。(平20課評2-5外改正)

(電話加入権の評価)
161 電話加入権の価額は、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価する。(昭41直資3-19・令3課評2-26外改正)