経済協力開発機構(OECD)のBEPSプロジェクトにおいて策定された税源侵食および利益移転を防止するための措置(BEPS防止措置)のうち租税条約に関連する措置を、多数の既存の租税条約について同時かつ効率的に実施することを可能とするための「税源侵食及び利益移転を防止するための租税条約関連措置を実施するための多数国間条約」(BEPS防止措置実施条約)(以下、「本条約」といいます。)が、我が国においては平成31年1月1日に発効しました。
内容
本条約に規定する租税条約に関連するBEPS防止措置の規定は、原則として、各租税条約のすべての締約国(二国間条約の場合は、その両締約国)がその規定を適用することを選択した場合にのみその租税条約について適用され、各租税条約のいずれかの締約国がその規定を適用することを選択しない場合には、その規定はその租税条約については適用されません。
本条約に規定する租税条約に関連するBEPS防止措置の規定が既存の租税条約について適用される場合には、本条約の規定が、既存の租税条約に規定されている同様の規定に代わって、または既存の租税条約に同様の規定がない場合にはその租税条約の規定に加えて、適用されます。
なお、本条約に関する最新の情報につきましては、財務省ホームページに掲載されている「BEPS防止措置実施条約に関する情報」のページをご覧ください。
BEPS防止措置実施条約の概要及び経緯
1.概要
○ 本条約は、BEPSプロジェクトにおいて策定されたBEPS防止措置のうち租税条約に関連する措置を、本条約の締約国間の既存の租税条約に導入することを目的としている。
○ 本条約の締約国は、租税条約に関連するBEPS防止措置を多数の既存の租税条約について同時かつ効率的に実施することが可能となる。
○ 本条約により導入可能なBEPS防止措置は、①租税条約の濫用等を通じた租税回避行為の防止に関する措置、及び、②二重課税の排除等納税者にとっての不確実性排除に関する措置から構成される。
○ 本条約の各締約国は、既存の租税条約のいずれを本条約の適用対象とするかを任意に選択することができ、また、本条約に規定する租税条約に関連するBEPS防止措置の規定のいずれを既存の租税条約について適用するかを所定の制限の下で選択することができる。
2.経緯
○ 2014年9月:BEPS報告書において、多数国間条約交渉のためのマンデートの策定を勧告。
○ 2016年11月24日:参加国による条文の採択。
○ 2017年6月7日:署名式(於パリ)において我が国を含む67か国・地域が署名。
○ 2018年5月18日:第196回国会(平成30年通常国会)で承認。
○ 2018年7月1日:先に批准書等を寄託した5か国・地域について発効。以後、批准書等を寄託した国・地域について順次発効。
○ 2018年9月26日:我が国が受諾書を寄託。これにより、本条約は我が国について2019年1月1日に発効。
○ 2023年5月23日現在:98か国・地域が署名。内、79か国・地域が批准書等を寄託。